「限りある時間の使い方」読書感想文
- Yukaringo
- 8月27日
- 読了時間: 3分

「限りある時間の使い方」読書感想文
オリバー・バークマンの「限りある時間の使い方」を読んだ。
この本、生産性アップ系の本ではない。むしろ「もうそんなに頑張らなくていいよ」と肩をポンと叩いてくれる、なんとも慰められる一冊だった。
従来のビジネス書みたいに「1日を25時間にする秘訣!」みたいな無茶なことは言わない。代わりに「君の人生、だいたい4000週間しかないから、もう諦めよう」という、ある意味で爽快な現実主義を突きつけてくる。
衝撃の「4000週間」理論
この本で一番「うわあ...」ってなったのは、人生を「4000週間」で表現したところ。
計算してみると確かにそうなんだけど、こんな風に数字で突きつけられると、なんだか急に焦ってくる。でも不思議なことに、読み進めていくうちにこの焦りが安心感に変わっていくんだよね。
著者は「効率化すれば何でもできる」という現代人の思い込みを、バッサリ斬り捨てている。
「生産性の罠」っていう概念が特に面白くて、要するに「仕事を早く片付けるほど、新しい仕事がどんどん舞い込んでくる」という、まさに現代のシーシュポス神話だと言うわけ。
「もう完璧じゃなくていいよ」という優しさ
この本の一番いいところは、「完璧主義をやめよう」って提案してくれること。
Instagram見てると、みんなキラキラした生活を送ってるように見えて、「私も全部完璧にこなさなきゃ!」って思いがちだけど、著者は「それ、無理だから」とあっけらかんと言い切る。
マルチタスクも「実は効率悪いよ」とバッサリ。一つのことに集中する方が、結果的に満足度も高いし、成果も上がるって話は、映画観ながら仕事をしている私には痛い指摘だった。
「やりたいことは準備が整ってから」じゃなくて「今やろう」。完璧な状態なんて永遠に来ないもんね。
でも、現実はそう甘くない...?
とはいえ、この本の提案を100%実践するのは、正直言って難しい。「将来への不安を手放そう」って言われても、家のローンがあったり、子どもの教育費を考えたりしてると、そう簡単には手放せない。
会社勤めしてると、自分一人の時間管理だけじゃどうにもならない構造的な問題もある。上司が「明日までに」って言ったら、「いや、私は今この瞬間を大切にしたいので」なんて言えないし(笑)。
でも、それでいいんだと思う。完璧に実践できなくても、ちょっと意識を変えるだけで、日々の満足度は確実に上がる。これも著者が言う「諦めの智慧」の一つかもしれない。
結局、何が変わったか
この本を読んで一番変わったのは、時間に対する罪悪感が減ったこと。「今日も一日無駄にしちゃった...」って落ち込むことがなくなった。
4000週間しかないって聞くと焦りそうだけど、逆に「じゃあ、今やってることを大切にしよう」って思えるようになった。ゲームをするときも、絵を描くときも、前より「今この時間」を味わえるようになった気がする。
おわりに
「限りある時間の使い方」は、時間術の本というより、人生の楽しみ方を教えてくれる本だった。効率化や生産性アップに疲れた現代人には、この「諦めの智慧」がきっと心に響くと思う。
時間は管理するものじゃなくて、受け入れて味わうもの。この当たり前だけど忘れがちなことを、改めて思い出させてくれた。
忙しくて時間に追われてる人、完璧主義で疲れてる人、そんな人たちにぜひ読んでもらいたい。きっと肩の力が抜けて、もう少し楽に生きられるようになると思うよ。


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